派遣法ができたのは1986年だが
それよりずっと前から同じような業務形態はあった。
これは設計業といって、設計をする会社である。
例えば、新規で何かを作りたいと思っても、
設計するにはそれなりのノウハウが必要である。
ノウハウが無い会社や人が足りない会社は、
設計会社から人を呼んで、一緒に仕事を行った。
今の派遣と同じように、派遣先の命令で仕事をした。
1986年に派遣法ができたから、「派遣」になった、と言える。
ところで、自社以外で仕事をする業務形態は2種類ある。
・請負
業務を一括してまかされる。客先社員は命令できない。
客先で仕事をしていても、名刺は自社の物を使う。
客からは「入力」だけもらい「出力」だけ渡す。
・派遣
客先社員と同等として扱われ、客先の命令者に従う。
客先の名刺を持ち、客先の社員として振る舞う。
さらに『派遣』には、2種類ある。
・一般派遣
派遣法ができるまでは人身売買となるため違法であった。
登録型の雇用形態をとるため、フレキシブルな働き方が可能。
職種の他、日雇い、週雇い、月雇い、終業時間帯など色々選べる。
派遣されていない期間は非雇用扱いになるため、期間によっては
社会保険や年金、福利厚生が無いリスクもある。
・特定派遣
上述した設計業や、ソフトウェア会社が客に行う派遣がこれにあたる。
派遣元の会社に正社員として常用雇用され、派遣期間の有無は関係ない。
普通の会社に就職し、職場が客先で、客先の社員として振る舞うと、
この特定派遣という雇用形態になる。
正社員であり、個人の実力差が給与に反映され難い。
最近、世間をにぎわせている「派遣切り」は、主に一般派遣である。
一般は件の場合、契約が終わると給与が出なくなるため生活が逼迫するが、
請負や特定派遣は契約が終わると自社に戻り、次の案件に赴くだけである。
そもそも、海外の「派遣」ではこのような問題は発生しない。
というのも、派遣のリスクに対して高賃金をとるのが通例化しているためである。
日本の派遣は営業のために価格競争が起きてしまった。
派遣社員側もそれを当たり前と受け取っているため、仕事に対する愛情も起こり難く、
実質的にアルバイトと変わらないスタンスの人も多い。
逆に、仕事に対し愛情を抱き、社員並みの責任感を持って仕事をすると、
客から「勘違い君」扱いされる事も起こりうる。(よく起こるわけではない)