結婚に先駆け昨年10月より彼女と同居を始めていたが、従妹が離婚の危機だったり、弟が警察沙汰やら病院送りやら、2017年は大変面倒な問題が継続的に多発しており、ゆっくり心を落ち着けて自分の事を優先できなかった。婚姻届を出す日だけはだいぶ前に決めてしまったので、気が付けばカレンダーも変わって目前である。この歳で付き合うと結婚まっしぐらなんだなぁ、と漠然と思う。
付き合い始めたころ、彼女の存在を外に向けてアピールしていなかったので、何も知らない同僚(独身)が出雲大社に旅行したお土産で「えんむすび」のお守りを買ってきてくれた。心から申し訳なく思ったが、今も会社の机の中で大切に眠っている。
ところで「君の名は。」で有名になった新海誠のアニメを見ていると、主人公がよく言うセリフに「~なんだと思う」というのがある。「僕はきっと、あなたの事が好きなんだと思う」という、自分の気持ちをハッキリと理解できていない、他人事で歯切れの悪い言い方である。正直気持ち悪い。
しかし、結婚とは電撃的な恋愛あるいは牧歌的な青春の延長線上にあると、心のどこかで思っていた自分としては、今の状況をどこか客観的に見てしまうのである。ただ主体的かつ肯定的に突き進んでいるのも事実だから「きっとこの直観を信じているんだと思う」と気持ち悪い言い方をしたくなる。
同棲を始めて生活サイクルや金銭感覚が変わり、お祝い金をもらい、ご両家顔合わせまで終えた今、人生の曲がり角というやつを肌で感じる。西野カナのトリセツは馬鹿に出来んな。
年始に親父から、壊れたオメガの時計をもらった。
スピードマスター オートマチック
壊れてるならくれ、と言ったらポンとくれた。代わりにオリエントのレトログラードが欲しいという。誕生日までに用意しよう。12万くらいで買えるだろう。齢71だから平均寿命まで使える時計になるだろう。
このスピマスオートは、3510.50というモデルで、90年代初頭、25年以上昔のものだ。スピードマスターは大きく分けて、手巻きのプロフェッショナルと、自動巻きのオートマティックが存在する。このモデルはリデュースと言って、オートマティックの中でも一番廉価なもの。つまり高級時計というより実用品である。当時は安さと日本人に合うサイズ感からたくさん売れたものの、ムーブメントの複雑な構造からくる故障が多かったという。一部の人から嫌われるモデルだが、おかげさまで今では部品もよく流通しており、取り扱う時計屋も多いのですぐ修理できる。どんなに高級でレアな時計でも、安心で迅速なサポートを受けられなければ使えない。特に海外製の修理は本国送りになりやすいので、下手な舶来品を買うくらいなら国産のグランドセイコーを買うという人もいるほど。
というわけで勇気を出して銀座のスウォッチビルに行き、オメガの修理センターに直接修理を依頼した。ここはアップルストアのジーニアスバーと同じで、時計職人がいるため実際に時計を開けて詳細な修理見積もりを出してくれる。故障の原因は、裏蓋とリューズのチューブの封止破れによる水入り、腐食だった。磨きやロー付けが必要とのことで、フルオーバーホールと修理、部品交換で10万円。少々高い気がしたが、メーカ修理はケースやベルトも綺麗になるうえ、精度調整も含めて品質の安心感は高い。新しい主の元に来る前に、綺麗になってもらうことにした。
修理見積もりと同時にムーブメントがCal.1140だと判明した。実態はETAのCal.2890-2にクロノグラフ機構(デュボア・デプラ製)を載せた二階建て構造。全部で45石・8ビートというシンプルと真逆の時代を感じる作りになっている(そんなだから故障するんだ…)。日差は悪くなく±10秒程度。今のセイコーファイブが日差±25秒程度なのでだいぶ良く感じる。裏蓋は透明ではないが、今では珍しい金メッキされたムーブメントなのだそうだ。また独特のクセを持ち合わせており、時間あわせ直後に分針が遅れる、クロノを作動させると針飛びするなど、それ大丈夫か?と思うものばかりだが、一部のマニアはそういうところを見て楽しむらしい。へー。
ちなみにムーブメントの変遷はこんな感じらしい。
Cal.1140→Cal.1141→Cal.1142→Cal.1143→Cal.3220(2005年~)
というわけで、今となっては比較的珍しいムーブ?かもしれない