自動車保険の乗り換え

毎年7月、自動車保険の満期がやってくる。

最初の車を買い、保険に加入したのが7月。毎年この時期になると、そのことを思い出す。

当時22歳。等級も低く保険料は高額だったが、2000年ごろから海外のダイレクト型保険が登場していたのでだいぶ助かっていた。アクサダイレクトはとびぬけて安価で、対応の良さに賛否両論あったが、これに加入した。

それからずーっとアクサダイレクトにお世話になっており、何度か事故に遭遇したが特に対応で不満はなかった。むしろ事故後の気遣いから段取り、今の契約内容ならここまでできるなどのユーザが気づかないところの情報提供まで、シッカリしてるなと思わせるくらいだった。駐車場(私有地)での事故についても、警察を呼ばずに処理したこともある。ただ、ゴネ得は許ないというか大変お堅いところがあり、比較的簡単にお金を出す東京海上や三井住友との違いだなと感じたこともある。

価格のアクサ・対応力の東京海上日動、というイメージは今も変わらないだろうが、国内のダイレクト型自動車保険も大量に生まれて久しい。そろそろ見直ししてみるかと一括見積をしてみたら、今の自分の条件ではイーデザイン損保が一番安かったため乗り換えることにした。

以下は私の契約の選び方である。事故を起こしたことがない人は参考にしてほしい。

■運転者の特約

運転者限定特約:なし
運転者年齢条件:30歳以上
年齢条件は、運転者の同居家族以外の場合は関係ない。例えば20代の親戚や友人が運転した場合でもこの保険は有効である。

■基本的な補償
対人賠償:無制限 対物賠償:無制限
搭乗者傷害保険:なし
人身傷害補償保険:あり(搭乗中限定)  3,000万円/人

相手の怪我はこちらの自賠責と対人賠償で補償されるが、ここでは自分と同乗者の怪我の保険について。まず長期に及ぶ治療となった場合を考えると人身傷害は必須。問題は搭乗者傷害を付けるか否か。結論から言うと搭乗者傷害は付けなくても実質問題ない。治療代の確定前に金が出るのがメリットだが、いきなりの高額な治療代に困窮する場面は考えにくいのである。事故処理の経験上、普通は相手の自賠責と任意保険でキャッシュレスに治療される。また大抵の人は自分で傷害保険や医療保険に加入しているのでそこから出すこともできるし、最終的には健康保険が使える(交通事故では使えないというデマが昔あったな…)。ちなみに人身傷害は自動車に乗っていなくても補償される素晴らしい商品だが、「搭乗中限定」にすることで別に加入している傷害保険や医療保険との重複を避けられ、保険料を下げられる。(ただし、他の保険に加入していない近所の子供を沢山載せる事がある場合、搭乗者傷害保険を付けた方がいいかもしれない)

■車両保険
車両保険:あり(エコノミー) 車両保険金額 50万円
免責金額:1回目0万円-2回目以降10万円

自動車本体の損害に対して補償される車両保険は付けない人も多い。高速道路での飛び石でフロントガラスを割られると高額になるため、高速道路をよく使う人は、無理のない範囲で加入をお勧めする。車上荒らしによるナビの盗難でも活躍する。今回は8年目なので、車対車とアクシデント(いたずらや盗難、天災による偶発的な損害)のみ補償されるエコノミータイプ。新車なら購入後3~5年くらいは、車体に慣れずにぶつけることがあるためフルカバータイプが良いかもしれない。

■その他
弁護士費用等補償保険:300万円
他車運転危険補償保険:あり
身の回り品補償特約:1事故につき30万円(免責5,000円)
車両全損時諸費用特約:あり
対物超過修理費用補償特約:50万円(1台あたり)/事故

経験上、0:100の事故を起こすと厄介だ。自分の保険会社は一切損害を負わないため、相手に対して示談交渉をする権利がない。自分で相手の保険会社(プロ)に対して賠償請求を行うことになる。当然法的な知識が必要となる。怪我をすれば通院費用の請求、通院回数が一定以上になれば慰謝料の請求、壊れた物品があれば修理費用の見積もりと減価償却した金額の請求、メガネなどは物品ではなく怪我として換算するなど、面倒な請求を自分でやる必要がある。

また、自動車も納得のいく修理が行われるかは疑問である。車を修理工場に預けている間に、相手の保険会社の担当が勝手に車を確認して、修理内容をコストダウンするように注文を付ける。修理工場が腕利きであれば、あらゆる箇所を点検し、小さな事でも修理対象として見つけてくれるし、工場が懇意のディーラーだったりすると「ちゃんと直すにはこの内容でこれくらいかかる」と頑張ってくれるが、相手の保険会社が認めなければ金は出さない。ここまでやらなくても走るでしょ、というわけだ。

こんな時、弁護士に相談すると楽だし、少しは納得のいく結果になるだろう。保険料は高くないので、弁護士費用の特約はつけた方がいい。

身の回り品補償も同様。事故れば必ず何か壊れるものだ。キャリアに載せたスキーやスノーボードが壊れた場合も有効。なおキャリアではなく車内であれば盗難についても補償される。ただし、パソコンや携帯機器は補償外なので注意。これらは減価償却して相手に損害賠償請求することになる。

5年を超える日本車に乗っている場合に限った話だが、全損時の特約と対物超過修理の特約があると良いかもしれない。日本車の価格は3年も経てば1/3になる。5年後なら言わずもがな、潰れやすい日本車はちょっとした事故でも修理費用が中古車価格を超えてしまい、「全損(廃車)」となる。こんな時に、全損時の特約があればお金が出るので廃車処理や買い替えがしやすいだろう。また恐らく相手も全損となる事が予想されることから、何が何でも修理しろとゴネられる可能性がある。こんな時は対物超過修理の特約があると話を進めやすい。事故ったことがないと分からないよね。中古価格が安いと修理してもらえないなんてさ。

他者運転危険補償は、他人の車を運転中でも補償してくれる特約。これはどこの自動車保険でも普通は自動的に付いている。

これで36,000円だった。だいぶ安いな。