現金大好きな日本の社会において、全く浸透しないのがキャッシュレス決済。
アメリカならどんな小さい店でもクレジットカードやデビットカードが使えるし、中国ならアリペイというスマホ決済が一般化している。日本ではせいぜい、SuicaとEdyといった電子マネーだろうか。
キャッシュレスとは
キャッシュレスとは、財布が電子化するということだ。メリットは現金を持ち歩く必要がなくなる安全性と、距離や時間に拘束されないことにある。実現には少なくとも次の4つが、無料ないしは低コストかつリアルタイムでできる必要がある。
- 入金 財布にお金を入れること
- 決済 品物やサービスの支払い
- 送金 立替や割り勘に伴うお金の受け渡し
- 出金 必要な時にいつでも現金化できること
このうち、送金と出金は一般的な電子マネーでは実装されない。いずれも法的な理由で、実装すると使い勝手が悪くなる。例えば送金は本人確認が必要となるし、出金できるようにするとクレジットカードで入金(チャージ)できなくなる。
現状のキャッシュレス
入金・決済のみできる電子マネーは巷に溢れており、正直なところ、これらはクレジットカードやデビットカードだけでいいじゃんという気分である。パッと思いつくだけでSuica、Edy、WAON、nanaco、auウォレット…とゾロゾロ出てくる。スマホ決済も、LINEペイ、楽天ペイ、○○ペイと、ごろごろある。でも対応店舗やユーザが多くなければ使えないし、法律が足かせとなってアリペイの劣化コピーでしかない。普及すれば便利かもしれないが、結局はチャージにクレジットカードが必要になるのなら、初めからそれでいいじゃん。
日々多くの人が利用する駅で、高速に改札を通過でき、自動精算され、あらゆる交通機関で共通化、必要なら出金できるSuicaは、そのものに社会的な価値がある。圧倒的な普及率もうなずける。だが、EdyやWAON、nanacoなどのプリペイド電子マネーは客と店舗を囲い込んでしまうだけで価値がない。プリペイドなのにプレミアが付かないし、マネーなのに現金より不便になる、社会が得をしないのだ。そして高い導入コスト。役に立つ面があるとすれば、大学や会社の食堂での導入くらいだろう。スマホ決済も同様だ。
LINEペイは、銀行ではないが資金移動業者であるため、入金・決済・送金・出金の全てができ、未対応店舗でも使えるようJCBプリペイドカードあるし、潜在的なユーザが多いので本命視していた。案の定、送金についてはイマイチ使い勝手が悪く、LINEペイに対応した銀行口座を持っていないと本人確認ができない点も困る。本人確認なしの少額送金も、犯罪に未成年が巻き込まれる可能性があるため難しいだろう。ユーザは一定数いるが、サービス事業方針の変更とやらで先行きが不透明である。
日本では送金と出金の実現がいかに大変なのか感じさせる一例である。
気軽に送金できるサービス
昔から、PayPalなど知らない相手に安全に送金するサービスはいくつかあった。PayPalは海外のネット通販でも使えるし、無料ではないが低コストで送金できるし、スマホが世の中に登場する前から将来性のある決済代行サービスだった。しかし、法改正で本人確認が必要になってから、個人間送金サービスが無くなった。お互いに身元をバラさず送金したいのだから当然と言える。
Kyash
最近はこれら日本の法律を踏まえて送金に特化したサービスが出現してきた。
その中でポストLINEペイと思われる、個人間送金の決定版がKyashである。Kyashは先にあげた4つの機能のうち、入金・決済・送金ができる。クレジットカードで入金でき、送金は当然無料。出金はできないが、プラスチックのリアルカード(VISAプリペイドカード)が提供されるので決済、つまり電子マネーの消費に不便は感じないだろう。2%のキャッシュバックもあるので、LINEペイからの乗り換えユーザが発生すると思われる。2%に飛びつくのも乞食みたいだが。ただし1日3万円、月12万円の上限があるので注意が必要。AndroidPayにも対応したので、利用シーンは膨大だと思われる。
こういった一部の機能(この場合は個人間送金)に特化した金融サービスこそFintechだと思う。
というわけで、Kyashアプリを入れて、リアルカードを申し込んだ。
あとはこれを使ってくれる人が増えてくれば、もっと便利になるだろう。
もとより僕が個人間送金に拘るのは、仕事や飲み会で多人数とのお金のやり取りを年がら年中しているからだ。特に飲み会は計算を間違えることもあるので後日請求の形をとることも多い。固定会費制にすることもある。金額が細かいほど大変になるし、月に一度しか会えないような人も多い。皆に銀行口座を教えたら、すぐ振り込んでくれるだろうか?いつまでに?手数料は?誰でもこのような経験はあるだろう。送金はもっと手軽になるべきだ。
実はただ他人に支払いを請求するだけなら、Paymoという支払代行サービスがある。これはレシートが必要な代わりに、送金と出金が出来る。メールで支払い画面を送り、相手にはペイモかクレジットカードで支払って貰う仕組みだ。法的には各種代金のコンビニ払いと同じである。
しかし頑なにLINEを使わない人がいるように、周りの皆が使っていても自分だけは使わないという人はどこにでもいるので、当たり前のように使えるようにはならないだろうけど。