携帯電話のハンドオーバー

携帯電話は、基地局と通信して通話などができるが
移動中は基地局をポンポンと切り替える必要がある。
この切り替えをハンドオーバーという。
今まで繋いでいた手をパッと離して、別の人とまた繋ぐ、
というイメージで、名前の由来も理解できると思う。
携帯電話でなくても、通信という世界では
ハンドオーバーはよく行われるありふれた作業だ。
リレーのバトンは落としてはいけない。通信が切れてしまう。

2Gの頃、つまりドコモのmovaやIDO/セルラーのデジタルでは
ハンドオーバー時にプツンと通話が切れるようなことは日常茶飯事だった。
ビルの谷間に入ったり、高速道路や新幹線での移動中に使用すると、
突然相手の声が聞こえなくなったり、自分の声が伝わらなくなったりして
ついに無音状態になると一瞬プッというノイズが起き、
直後に通話が回復するという動きをした。
まさに一旦切断して繋ぎなおしました!という感覚だった。
ただ、ハンドオーバーは成功すれば運がよく、大抵の場合は切断された。
これは、2Gの頃は同時に通信できる基地局は1つだけだったため
「あ、切れそう!」と端末が判断した時には既に余裕が無かったからだ。
また、急激なユーザ増加に電波の余裕が無く、
基地局の近くにない端末は(遠く電波が弱いと通信できず)容赦なく切断されたので
ハンドオーバーする条件にあてはまる端末は、切断されやすい条件でもあった。
しかし、当時はそれが当たり前なので特に大問題にはならなかったし、
低品質でも、外出時に会話ができるだけで十分実用的だったのである。
会話をしたくない相手に「ちょっと電波が悪くて」という言い訳を使ったものだ。
懐かしい。

これが特に酷かったのはPHSである。
PHSの基地局はマイクロセル方式といって、超小型である代わりに、
100m毎に設置しなければならない、じゅうたん爆撃のような設計であった。
そうすることで、少ない消費電力で超高品質な通信が出来た。
当時PHSを使っていた人は、音質の良さを覚えていることだろうし
3Gが登場するまではネットの接続も最高速だった。
一回の充電で半月も使えたし、電波が医療機器へ影響を与えにくく病院で使えた。
だが、その利点が逆にハンドオーバーで欠点になってしまった。
移動中にまたぐ基地局が多すぎるのである。
PHSのハンドオーバーは、数秒かかる(その間無音)。
人の歩く速度程度なら問題ないものの、自動車や電車での移動になると
ずっとハンドオーバーのターンで一向に会話できず、無音のまま切れた。
基地局が少ない地区では電波が弱すぎて切れた。
多い地区ではハンドオーバーが多すぎて切れた。
地方と都市部では文字通りお話にならないということになり、
PHSが切れやすいといわれるようになった。
H”が頑張って技術向上したものの悪いイメージは払しょくできないまま、
低価格路線でWILLCOMしか生き残れなかった。
(最終的に通勤電車くらいの移動では切れにくくなった。凄い)

そして、ついにIDO/セルラー(現au)が本腰を入れた。
cdmaOneの開始である。

つづく