岩波書店の縁故採用・コネ採用が話題になっていた。
個人的には、縁故採用・コネ採用に対して特に問題は感じない。
メリットやデメリットに言及する人もいるが、
僕はその採用方法の内容や背景や是非はどうでもいい。
問題は、コネという誰かが持っている武器を、ワザワザ非難することである。
コネを持っていない人からすれば、不平等という気持ちは確かにあるかもしれない。
しかし、就職難の今、激化した就職活動という生存競争の真剣勝負に、
全力全開で挑まずに不平等などと、何故言えるのか。
「私や、彼は武器がありません、だから皆も捨ててください」
僕が新卒なら、迷わず武器を持ち、行使するだろう。
誰のためでもなく自分の人生のために、全力をつくすし
それが採用担当への誠意でもある。
人を雇うのは、企業にとって非常に大きなリスクである。
しかも新卒という、少なくとも3年程度の赤字投資を見込む採用である。
そこで1年も経たないうちに辞められたら、損害賠償を請求したくなる気分だろう。
そんな人は初めから要らない。
だから採用は本気でやる。もし採用に失敗すると、キツい苦情と改善要求が発生する。
逆に考えれば、コネは保険であり、採用コストを落とせる。
部分的には合理的な手段と言わざるを得ない。
したがって、就職活動とは自分を売るための交渉であり、
老若男女誰でも利用できるように用意されたシステムではない。
当然、交渉には「駆け引き」と「妥結」がある。
相手の強味と弱味、自分の強味と弱味、を材料に
相手に脅されたり、試されたり、騙されたりすることもあるし
逆に自分が相手にそうすることだってある。
更に、通常の交渉と違い、はじめから採用側に有利という条件だ。
妥結のためには、相手に魅力を感じさせねば聞く耳すら持ってもらえない。
卓越した交渉スキルを持っているのなら手ぶらで結構だが
持てる武器はできるだけ持つほうが有利に決まっている。
それをあえて捨てさせる意見は、就職難の今、おすすめできない。
武器には、努力で勝ち得るものもあれば、そうでないものもあるが
不平等を叫ぶヒマがあったら、別の方向で努力して欲しいものだ。
もうひとつ言うと、本当に、本当に欲しいコネなら、努力で作れると思う。
そのためには、就職活動に通じる交渉力やアピール力がやはり必要だろうが。