たぶん、今50歳を超えた人は
「貯金をしなさい」と口を揃えて言うだろう。
脂がのって来た時期にバブル崩壊に遭遇したため、
貯蓄の大切さを知っているからだ。
実際の所、老後は子供からの支援が無ければ貯蓄に頼るしかない。
数千万単位の莫大な貯蓄でないと、かなり逼迫した生活となる。
惨めな老人は今後も増え続けるだろう。
しかし、実は貯蓄という行為は行き過ぎるとデフレを招く。
皆がお金を貯蓄して消費にまわさなくなると、会社の売り上げが減る。
すると社員の給料が減ってしまい、ますます消費できなくなる。
消費者は好きで消費しないわけではないので、安い品に飛びつく。
こうなると市場は、薄利多売に走り始める。
(金は命よりも重いと言い切れる程に、市場は常に真剣で切実である)
結果的に価格競争となり、体力の無い会社はどんどん潰れる。
会社は余裕が無いので人を雇えず、雇用問題が悪化。
失業者が増えてしまい、ますます消費が減ってしまい…給料が減り…
…と、デフレスパイラルに陥る。
本来、銀行に貯金したお金は事業の資金として貸し出されるもの。
事業者は借りた金を銀行に預け、その金がまた貸し出され…
世の中のお金はそうやって増殖していく。
金はモノではなく、信用から生まれる価値を数字にしたものである。
消費が滞ると、このサイクルが縮小してしまう。
最低限の貯蓄は大事であるが、世の中を動かすにはまず消費意欲。
しかし、消費も無闇にすれば良いというわけではない。
使い方を考えるべき。
「地元に落とす」をモットーにするも良し、「ひいきをつくる」もよし。
商品以上の価値があるかどうかを考えて使えば生きてくるだろう。
例えば急いでいる時に、高いからとタクシーを使わない前提で考えるのではなく
タクシーを使った場合に他の手段に比べてどれだけの価値があるかを考えるべき。
到着に要する時間が圧倒的に早く、その時間分他の仕事ができるなら、
その利益は運賃に転嫁できるのだから。