先物取引の悪魔

個人が手を出してはならない金融取引に
先物取引というものがある。

トウモロコシ、小麦や油、鉄など、
何らかの原料になるものを将来の価格で取引する。
先に物の値段を決めてしまう取引なので、先物取引だ。
需要と供給の関係による取引を行い、価格を決める。
将来それを決まった価格で買う権利を得る。
将来それの実際の価格が、取引価格より下回れば赤字だが、
逆に将来値上がりすれば、取引価格で買う事が出来るため黒字だ。

元々はそれら原料を必要とする農場や工場が
将来の値上がりに備えて先に値段を決めておこうという
リスクヘッジの考え方から生まれたものであるためだ。
先に値段を決めておけば、原料から作る商品の価格を決められる。
従って急激な変動に振り回されて損失を出す可能性を減らせるのだ。

ただ、実際は元本の何倍もの額で取引するためリスクが大きい。
また、負けた場合、110円で買った物を100円で売る必要があるため、
ゼロではなく、マイナス(借金)になる。
取引内容の性格から、世界中の動向と情報を手に入れる必要があるが
専門性が高すぎる上に、リスクヘッジが難しい。
そして場合によっては突然の連日ストップ安もよくある。
個人が簡単に手を出せるものではない。

なので通常は大きい商社が行うが、最近は個人投資家も増えている。
理由は簡単で、個人向けの小さい仲介会社が増えているからだ。
この手の会社は、お金を持っているお年寄りの家へ出向き
若い孫くらいの年齢にあたる営業にセールスをやらせるのである。
必ず儲かるという言い方で勧められ、つい軽い気持ちで手を出す。

さて、運良く儲かる個人投資家もいる。
そういった投資家には絶対に現金化させないよう死力を尽くす。
手数料が取れなくなるからだ。
大きいお金を得た人には、更に手数料をもらいたいものだ。
負けた投資家は、たった1千万の投資のはずが
土地と家を売るだけじゃすまない借金を負う。
だがそれは個人の責任なので関係ない。

このセールス、実は知り合いだったりする。
歩合制の給料のため若干23にして年収900万に達していた。
この会社の社員は仕事が終わるとすぐに高級クラブで豪遊。
そういう場でヤクザと知り合いになっている人が多かったそうだ。
入社して2週間で罪の意識に責められ辞めたくなったそうな。

社長が逮捕され潰れたため、今は皆、別の仕事をしている。
彼は、先物は儲からないが、手数料は儲かると言っていた。
大手の商社以外はほとんど、人を騙し、ヤクザが絡む会社だから
巻き込まれるなよと。