Winny作者逮捕について少し。

ファイル共有ソフトのWinny。
周知の通り、逮捕されてしまいました。
なんで作者が逮捕されるのかよく分かりませんが、京都府警の暴走行為に巻き込まれたものと思われます。
京都府警は捜査記録の一部が流出し、こともあろうかWinnyでも流れてしまうという大失態を犯してしまいました。
暴走するのもわかる気はします。

問題は、作者が逮捕されたことです。
今回の逮捕劇は、たくさんの犯人が同じメーカの拳銃による殺人事件がおきたとき、犯人が多すぎるので拳銃を作っている会社が見せしめに逮捕されてしまった ということになります。
日本の裁判は物的証拠ありきなのでどうなるか分かりません。
恐らく有罪にはならないでしょう。

この作者さんは、ネットが常識となりつつある現在においての、著作権流通に対する概念に疑問を感じていました。
「情報通信が発達している今、デジタル化される情報(音楽や映像)は著作者から直接購入するようになるのではないか」
現在の流通形式では、例えば音楽ならCDショップに行かないと手に入りません。音楽=CDという図式をユーザに押し付けているからです。
しかしながら、情報通信が発達した現在において、ユーザが欲しいのはCDの中に入っている「音楽」であってメディアのCDは必要ありません。
また、CDを流通させるためには「レーベル会社」という中間マージン(問屋さんの利益みたいなもの。金です)を大量に取る場所を通過させないといけません。
これがどういうことかというと、作曲者から直接音楽を購入できれば、一曲100円程度になるのに、レーベル会社を通過させると一曲150?200円程になってしまいます。
(アルバムの値段を曲数で割ってみましょう)
値上げ分の50?100円はレーベル会社が利益として持っていってしまうのです。

また、レーベル会社は「著作権」を盾に戦っていますが、CDを割って(傷つけて)しまった場合どうすれば良いでしょう?
CDには収録曲分の著作権料が支払われています。
もしCDを聞けない状態にしてしまった場合、新しく買いなおせというのでは、二倍の著作権料を支払うことになり、これは不当利益となりかねません。
そもそも、作曲者に二倍の料金を払うのならまだ許せます。中間マージンも二倍払うことになるのです。
ただの詐欺ですね。

とまあ、こんなことをWinnyの作者は言いたかったのですね。
しかし、レーベル会社は現在の流通形式を変えようとはしていませんし、下手に改革すると中間マージンの不足で倒産してしまいます。
しかし、ネットが当たり前の時代において、著作権料の払い方を考え直す時期は必ず来ることになります。
そこで、Winnyを流行らせる事で、そういうことを考えざるを得ない状況を早めようとしたらしいです。
レーベル会社にしてみればテロに見える行為かもしれませんね。

SEECOM自身としては、今回の事件は大変遺憾です。
Winnyが素敵なものとは言いませんが情報の共有はこれからの社会に無くてはならないものだと思うからです。
そもそも、Winnyをメジャーに語れるようなことになるとは思いもよりませんでした。
こういった悪用可能な事柄は、昔から「分かる人以外には使わせない、教えない」というタブーなものであったからです。
分かる人だけ使えればイイというのが掟なので、パチンコの「交換所」のように黙認視されるものであるべきでした。
(パチンコの裏にあるのは交換所です。換金所ではありません。換金は違法です。)
警察やレーベル会社は、Winny作者を逮捕することで、CD利益の低迷やファイル共有の罪を全てこの人に押し付けようとしています。
この人さえいなくなれば全ては平和になるような報道を繰り返すことで、国民にファイル共有に対する悪の印象を与えています。

また、音楽や映画の購入動機というのは、ふと「あ、アレ聴きたい(見たい)」と思うことが一番ではないかと思います。
手軽に手に入るTSUTAYAなどがやっていけるのは当にその動機のおかげであると思います。
その時に、CD並、それ以上のクオリティでパッと手に入る、かつコストに無駄のないシステムで、納得できる価格であれば、みんな買うと思うのです。
それは例えばAPPLEであり、米アップルコンピュータは同社のMP3プレーヤにて再生できる音楽形式(aac)で、曲を至極安くネットで購入できるシステムを構築しました。
結果は大成功で、各社が追従しようと同じサービスを立ち上げています。
といっても、APPLEが成功したのは同社製プレーヤのiPodがMP3プレーヤ市場で一番売れているからなのですが。
日本ではSONYが専用プレーヤの発売と共に同サービスを立ち上げようとしています。(SonyMusicだけになるんじゃねーだろな)
また、APPLEもアメリカでの成功を日本でも実現させようとがんばっています。(と言っても日本のレーベル会社は嫌がりそうです。利益が減っちゃうから。)
未来はいつも楽しみでありたいですね。