ネット黎明期とコスプレイヤー

もう20年前の話になる。90年代後半から2000年代前半までは、ネット文化黎明期と言えよう。テレホタイムにモデムでダイヤルアップしたり、ISDNが高速と言われた時代。写真一枚見るのも時間のかかるものだった。したがって文字によるコミュニケーションが主だった使われ方であり、2ちゃんねるは今で言うところのSNSのようなものであった。

そんなコミュニケーションの場では、今に通じるネット独特の文化が次々に生まれ、共有された。流行、ネタ、現象。テレビが取り上げない、変な人や面白文化、下らない挑戦といった、草の根運動的な活動や流行を、内輪的に楽しんでいたのだ。今のようにテレビがネットで生まれたコンテンツを取り上げることなど考えられなかった。

そんなネット文化のひとつに、コスプレイヤーの存在があった。サブカルの世界ではコスプレを楽しむ人はかなりの規模で存在しており、グラビアをやる人気レイヤーもいたが、その世界に自分が入らないと知ることはなかった。ネットはそれを表に出して、普通の人も知る手段になったのである。

ここで松永亜矢香さんの名前は欠かせない。一時代ネットアイドル状態になった、有名なレイヤーである。撮影会が開催されたり、自サイトAngelXXやイベントで写真集も販売していた。

2000年代後半、Perfumeがニコニコ動画で有名になり、2013年、橋本環奈は奇跡の一枚の写真がネットで出回って有名になったが、そういった流れは当時絶対にあり得なかった。
今でこそアイドルがレイヤーをやっていたり、人気レイヤーが芸能人としてテレビCMに起用されているが、亜矢香さんも時代が時代ならそうなっていた可能性がある。
一度、写真でなく動いている姿を見てみたかった。