恥ずかしさの克服

小学生くらいだと、とにかく浮くのを不安に感じてしまうため
例えば授業中にトイレに行くことや、反対意見を発することも
皆の注目を集めること、ひやかされることを苦痛に思ってしまうため
なかなかできない。
人によっては大人になってもそうなのではないだろうか。

もっとうまいやりかたを…と思い続けるも、
結局は誰かが作った雰囲気の隙間に収まって、事なきを得る。
ずるい自分にすら気が付かないのである。

私が小学生の時、クラスにバカが数名いた。
バカはまあ、バカだ。羞恥心があるとは思えない行動をする。
どこの学校にでも必ずいる、常識はずれのキャラクター。
だが、そこからいろいろな心の使い方を学んだ。
国語の朗読ではやり過ぎなくらい感情を込めることでギャグに転化し
クラスメイトはおろか先生の笑いまで誘ってしまう。
音楽の歌のテストはクラスの前にでて一人ずつ歌うパターンが多かったが
誰もが一番目を嫌がる中、バカは「っしゃあ!」と手を挙げるのであった。
そして自信満々で歌うのである。

よくやるよな、と言うと

これは歌のテストだろ、恥ずかしいと考えることが恥ずかしいだろ。
どうせ全員がやるんだったら、最初にやればカッコいいじゃん。

ああ、カッコいい。本当にそう思った。
神々しいとまでは思わないが、俺はそいつに味方をしたいと思った。
自信持って目立つことはカッコいい。

それ以来、人前に出るのは死ぬほど緊張するし震えるし治らないけど
カッコいいと思う故に、やるようになってしまった。
ただし、しっかりできないので結果はどう見てもカッコ悪いが。

これだけ書くと、そのバカが実はバカじゃないと思われるかもしれない。
蛇足ながらバカ事例を挙げさせてもらうと
先生に逆切れする真似をして遊んでいたら本気で怒られ教室の端まで投げられたり
陰部を露出しながら校内を練り歩く行為などにも平気で及んでいた。
他者の反応が何よりも面白いそうだ。
今思い出しながら書いていて、小学生は楽しいと思った。