解像度とインク数の話2

前回に引き続き、今回はハーフトーンの話になります。

雑誌などのカラー印刷をルーペで見ると、
小さな点々で表現されている事がわかりますね。
これがハーフトーンです。

混色法を用いると原色だけでフルカラーが再現できるわけですが、
いくら混ぜると言っても、非常にシビアな条件が課せられます。
「3つのインクを同じ量で同じタイミングに同じ場所に塗る」
「重ね塗りする順番を考慮する」
いくらなんでも、これは無理な話です。
(ただし、インクを紙に蒸着させるプリンタはこれをやります)

ハーフトーンとは、上記の作業を平面上で面積を利用することで
中間色(混色)を実現する方法です。
ハーフトーンにも色々な手法や理論が存在し、知覚に差が出ます。
例えば、原色の点を規則正しくモザイク状に並べるよりは、カオス的に撒いた方が自然な印象になります。
(これをパターンとか、誤差拡散などと表現します)

混色に面積を利用するため、同じ面積に打つ点の数が色の品質に直結します。
「どれだけ小さな面積で中間色を作れるか」
小さな面積で中間色を作れれば、シャープに、グラデーションがなめらかになります。
ということは、再現できる色の数が増えるということになります。
そう、4色インクでも、6色インク並みの色再現性を持つわけです。

そもそも、高級機種が6色もインクを持つ理由はここにあります。
ハーフトーンで再現するのが難しい色を、最初からインクとして持たせてしまえば良いわけです。
ハーフトーンで再現するのが難しい色とは、より狭い面積でハーフトーンしないと再現できない中間色です。具体的には、薄い色です。薄い色を再現するのに原色は濃すぎるので、白い紙に面積を広くとって点を打ち込みます。原色を薄めるために、白い面積がたくさん必要になってしまうのです。が、これをやると、点が肉眼で認識できてしまいます。たった1つの点の大きさがネックになるわけです。

ハーフトーンの限界は、中間色をつくる面積の小ささ、1つの点の大きさです。

はい。これ、出力解像度ですよね?
解像度が高ければ、ハーフトーンの威力はパワーアップします。
ハーフトーンさえきちんと動けば、インクは4色で済みます。

じゃあ、何で解像度をもっともっと上げないのか?
技術的に難しいという話はあります。
解像度を上げると、インクを噴射するヘッドの穴が小さくなるので、詰まりやすくなります。
年に数回しか使わない人にこんなヘッドを売ったら大変な事になります。
また、人の心理的な知覚としては、今時当たり前な2880dpiもあれば十分です。
それ以上はコダワリのある人しか分かりません。
他にも、マーケティングの理由もあるでしょう。
色数が増えれば買うインクの数も増えるので、インクや用紙で利益を得るビジネスモデルでは良い方向性です。

まとめ。
というわけで、インクの色数よりも、
高解像度な機種をお選びいただくことをおすすめします。
9000dpi以上の機種であれば、4色と6色の区別はつきません。