本気布団の選び方1

・掛け布団と敷き布団、どちらが重要?
どちらも重要だけど、日本人は敷き布団をおざなりにし勝ち。
腰痛や肩こりに悩まされている人、起きたときに同じ方向を向いて寝ている人は、敷き布団に原因があることが多いそうです。
掛け布団は軽くて暖かい羽毛布団が良いそうです。

・敷き布団の寿命は?
素材にもよるが、ホームセンター等で売っている安いものは3?5年。
一般的に1万円以下で大量に売られている敷き布団は、布団の設計製造会社が大手小売から「寿命3?5年」の要求仕様で受注したもの。(それくらいの寿命で作らないと回転率が落ちてやっていけないんだそうで、寿命を決めて作れる技術は非常に高度な技術だそうです。これをマイナス設計、と言うそうです)
寿命の見極め方は、体の跡が凹みとして残って綿がよったらもうダメ。
目安は、腰や尻の部分を上下から指で押し、1cmくらい。
(この状態で使い続けると背骨など骨格が歪む)

・敷き布団の素材は何が良いの?
素材はピンキリ。
安い布団だと、木綿、ポリエステル綿、クズ綿など。
(クズ綿は普通、座布団やマットに使うものなので余程の粗悪品)
高い布団だと、木綿、羊毛(ウール)など。

最近、良い「綿」が手に入りにくく、非常にやりにくいそうです。
まず国内では生産していませんし、こだわりで話題のオーガニックコットンなどは主に衣類や高級タオルなどに持っていかれてしまいます。布団にオーガニックコットンなんて、作っても。。まず手が出ないしょ。

良い布団は速乾性、通気性が良く、なんと干さずに使えます。
「干さずに品質を保てる」ということは長寿命なので、値段が高くなります。
しかし、干さずに使える素材は「羊毛(ウール)」です。
というわけで、ウールの敷き布団が良いです。

・何故ウールがよいの?
まず、埃が出ません。
部屋の埃ではなく、家中の埃が減ります。
布団の素材に植物性繊維を使うと埃の元になります。
植物性繊維は月日が経つと「フェルト化」という現象を起こします。
フェルト化した繊維を布団叩きで叩くと、目に見えないレベルの大きさに「粉砕」します。ドライフラワーを思い浮かべると理解しやすいです。
これが宙を舞い、空中でくっついて綿埃になるわけです。綿埃を拭いた時の色は、布団の中の色ですし、家全体の埃の大部分は布団が元です。一軒家の玄関の埃の原因が、1つしかない寝室の布団だったりする程だそう。
埃の出なささは、布団に課せられた品質の一つの基準といっても過言ではないそうです。

また、速乾性という点で非常に優れており、蒸れず、干さずに使えます。
動物の毛は撥水性が高く、植物の毛は保水性が高いです。
バスタオルを濡らして日陰に置くと、一日経っても濡れていませんか?
あれは木綿の特徴で、吸水性、保水性が高いからです。
だからタオルには非常に向いていますが、乾燥させるという作業が必須です。
ところが、動物の毛は速乾性に優れていて、すぐに乾いてしまいます。
髪の毛も、ドライヤーを使わずとも1時間経たずに乾きますよね。
動物の毛が何故乾きやすいのかは、まだ完全には解明されていないそうです。
布団でありながら、ベッドのマットレスみたいな使い方ができるわけです。

ウールと言っても種類があり、一概にウールなら良いとはいえません。
ピンキリのピンでは、若いメリノから採れた高級毛、キリでは年寄りのクズ毛という場合もあります。ウールには等級があり、等級は年齢で付けられます。
ここで重要なのは、どの等級のウールをどの割合で使ったかです。
若い毛は性能が良く柔らかいので、主に洋服に使われています。使われている布団を見つけたら結構珍しいです。(たまに、品質重視のブルジョワ布団にあります)
高齢の毛は、人間の髪の毛を見ればわかるように、性能や寿命が落ちます。

この視点は洋服でも同じことが言えます。
「ウール100%」「カシミヤ100%」でも、どの等級のウール、カシミヤなのか分かりません。価格は等級から決まってきますので、カシミヤ100%だけど安過ぎる場合は寿命に響くかもしれません。

・素材以外で見るべき場所は?
繊維の成型加工技術です。
いくらウールでも、ただ薄い布に毛を詰め込んだだけじゃ意味がないです。
「毛の弾力で空気を吸い込んで膨らんでいるだけ」の敷き布団はダメ。
空気で膨らんでいる上に寝たら、潰れてしまい寿命となってしまいます。
大量の繊維を、圧縮して「潰した」状態が本当の敷き布団です。輸入されてきたウール、高さ1.5mくらいの量を何回も圧縮して作るそうです。
固さは、体育のマット運動のマットより少しふんわりするくらいになります。

布団によっては、この状態で特殊成形されており、プラスチックでも入っているかのようにヒダヒダがあったり、体の部位によって固さが変わります。
(この圧縮や成形加工のトップはドイツで、次いで日本だそうです。ウールの技術はやはりヨーロッパの方が強いそう。はやり、ドイツのものづくりの精神はハンパないそうで、日本はそれを追いかけている最中みたいです)
因みに、日本直販などが売っているヒダヒダ手触りの布団はメンブレンというプラスチックで似たような状態を作り出していますが、寿命は短くなります。(実はこれもかなり高度な技術を使わないと出来ないそうです…)

後は、アイデアの部分です。
布団によっては、遠赤外線効果を狙って炭素繊維を縫い込んだものや、通気性や長寿命化に貢献するため、布団の裏になんと最新の立体メッシュ加工が施されている場合があります。知ってる人は知っている、日本中の繊維業界の最先端技術が盛り込まれている場合がありますので、そこら辺は見所です。
でも普通、マーケティングの問題もあり高級布団にしか付いていません。(車で言えば、レクサスやクラウンに最先端装備を付けるようなもんです)

でも、ドイツ製の布団なんて見たこと無いので、日本製でウールの布団は最高なのではないでしょうか。