スカイ・クロラを観た

映画館で観ようと思っていたが、すっかり忘れていた作品。
TSUTAYAに行ったら貸し出ししていた。

基本的にはPMC(民間軍事会社)の話である。
戦争はいつしか、国家同士から企業同士による代理戦争となり、
見せ物の様相を醸す。
いつも何処かで誰かが戦っているという概念があるから、
秩序ある人間の社会は成り立つのである。
主人公はPMCの社員であり、キルドレという人間兵器である。
キルドレは年をとらず永遠に子供であり、戦死以外では死ねない。

押井守監督の最新作なので、攻殻機動隊に似ている。
連続した物語の、一部分だけ切り取った映画という点でも似ており、
世界観、用語の説明が無く、突如としてその世界の当たり前を押し付けられる。
押井監督は、作品が客に合わせる方式を嫌うためだ。
いつだって、客が作品に追いつけ!というスタンスで作る。

押井監督の作品は、
無言のままキャラが行動し、どんどん場面転換する事が多いので、
その「間」から心情や状況を考える必要がある。
普通、そのシーンでは環境音かBGM、効果音だけが流れている。
一言つぶやいて姿勢を変えて、また一言つぶやいて、姿勢を変える。
2時間という制約のあるアニメで何やってんの!と思えるが、
そんなダラダラとした会話の中に、情緒や感情が生まれる。
外人が、日本のアニメは情緒的で感動すると言う部分だろうね。

スカイクロラを観ていると思う事。
先にも書いたが、いくら何でも一見さんお断り過ぎる。
「原作読んでない人は観る資格無いぜby押井」みたいな。。
キャラクターの顔がマネキンに見える事がある。
あなたは白いカラーコンタクを付けているのですか?という目。
おかっぱの子が登場するのは、監督のこだわり。
元々、画が存在するキャラなのに髪型をおかっぱに勝手に変更している。
キルドレと言って、思春期を過ぎたあたりで年齢が固定される人間の設定なので
性的な描写が多いし、常人には計り知れない感覚で世界を捉えて物を言う。

謎が多いが、このやり方だと押井監督じゃなかったら映画化は無理だろう。
あの人やっぱ凄いわ。

話は変わるが、PMCは現実に存在する。
かつて傭兵と呼ばれていたが、今では多岐にわたるサービスを提供している。
人材(兵)の派遣、物資輸送、機密兵器のメンテナンス等、手広い。
分かり易く言うと、戦争と兵力のアウトソーシング会社である。
国家はPMCを利用すると戦争のコストを落とせるため、
イラク戦争では、米軍の10人に1人はPMCだそうな。
PMCは死んでも怪我しても、労働災害なので国は何も補償しなくてよいし
逆にPMCが人を殺めるなどの戦争犯罪を犯しても罪にはならない。