SONYは、いまでこそあんな感じだが
10数年前はなかなか実直な製品を作っていた。
製品の筐体は、ブラックかダークグレーで
表面の印字やランプは、明るいオレンジやエメラルド色だった。
そしてモデルガンのようにメタリック。
樹脂だが金属光沢を放っており、高級感があった。
言い換えれば、きらびやかな飾りっ気の無い、
落ち着いた上品な大人のデザインだった。
まれに真っ白な製品も作る事があったが、
その頃は白と言えばパナソニック製品であった。
その頃までの製品は、変な機能をゴテゴテ付けるよりも、
本質的な部分をを更に伸ばす方向性の物が多かった。
テレビを例にとる。
KIRARA BASSOシリーズは、画は当然として音が非常に良かった。
スーパートリニトロン管は平面に近く、筐体もシンプルな黒い箱。
スピーカーは外に飛び出さず、且つ高音質を実現するために
まるでBOSEスピーカの様に響くエンクロージャを内蔵していた。
そのため、スピーカ開口部はとても小さくて細いのだが、
力強くて空間的に広がりがあり、音域の広い自然な音が出た。
(同時期の他社テレビの音に比べた場合の話である)
そして更に画作りを極めようとしたのが、有名なWEGAだ。
その後、液晶やプラズマが市場を圧巻したため、
ブラウン管のSONYはテレビ事業が揺れ動いてしまった。
またテープデッキ等では、
音質を直接左右するヘッドやメカにこだわってみたり
オートテープセレクター、ドルビーSなど、使い勝手が良かった。
その後MDを発売するが、初期製品のデコーダとDACの性能は悪く、
音質の悪いMDという印象を残してしまった。
(その頃なら、パナソニック/シャープの方が音質が良かった)
今ではMDも廃れMP3プレーヤが当たり前だが、これもSONYは出遅れる。
新しいコーデックのATRAC3で失敗。
こうしてみると、SONYはアナログな部分に強い会社だったことが伺える。
最近のSONY製品は、他社製品が使える物も多く、オープンになってきた。
ノイズキャンセリングヘッドフォンを搭載する等、
製品目的の本質を伸ばす機能が追加されるようにもなってきた。
これからに期待である。