29日に、USBの地デジチューナを買った。
3万円と安くはないが、先行投資と思えば。
目的はあくまで個人的な興味に基づく自己研究だ。
地上デジタル放送は、とても美しいハイビジョン放送だけれど
それを録画するには暗号化に暗号化をくぐり抜けなければならない。
具体的には、まず放送電波の内容が暗号化されていて、
次にチューナからの音声映像信号が暗号化されている。
テレビの内部やレコーダの内部でもデータは暗号化されていて、
従って録画したデータも暗号化されているのだ。
何故このような、無理にがんじがらめな仕組みなのかと言うと、
放送の違法コピーを防ぐためだ。
だから、録画することもコピーアットワンスと言って、
「1度だけ!」という制限になっている。
音楽用MiniDISCにもコピーアットワンスはあるが、
デジタル放送はもっと厳しく締め上げられている。
この「1度だけ!」が問題で、例えば録画した内容からCMをカットしたり、
番組の一部をカットしたり分解する事は出来るのだが、
それらを繋ぐ(コンバイン)ことが出来なかったりする。
全体の時間を調整するなどの編集を行った事実上出来ないのだ。
(今までのアナログ放送なら可能だったのだが。。)
この不便について、テレビ局側の言い分としてはこんな感じだ。
・録画は自由にできてはならない。(番組は局のもの)
・番組はリアルタイムで見ろ。録画なんかするな。
・録画を許すだけでも譲歩しているのに編集は許されない。
方向性としては、いずれは録画自体を出来なくしたいのだろう。
番組をDVDにおさめた製品を買ってほしいのだ。(アホか)
こんなに無駄な暗号化を重ね、その解除にB-CASカードが必要で
B-CASの管理会社、ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズに
日本全国の視聴者の個人情報を集約させて管理したり
視聴者に不便を強いる仕組みが、既に確立されてしまっている。
なにしろ放送は既に始まっているのだ。今後長く、方式に変更はあり得ない。
しかも日本独自規格と、利権・既得権益が垣間見えるどうしようもない仕組みだ。
(ブラジルも同じ方式だっけ)
そんなわけで、暗号化を事実上無効にされる危険が多いPCの世界では
家電に比べ、ずっと地デジの対応が遅れてきてしまった。
チューナ自体も売っていないし、視聴するための数々の暗号化を処理するため
PC内部のパーツが全て暗号対応していなければならないからだ。
遅れてしまったのは必然だ。
ところが、台湾の挑戦的な会社がFriioという製品を出した。
Friio(以下フリーオ)は日本向けのPC用地デジチューナだ。
特徴としては、現在の日本の法律に「合法的」に暗号化を解除し
USBで接続したPCへ、解除したそのままのデータをキャプチャ出来る。
そのデータは一般的なMPEG2_TSなので、ユーザが好きに加工できるのだ。
もちろんデータはコピーフリーだし、何のプロテクトも無い。
つまり、地デジの暗号化システムを合法的に壊し、
ユーザの自由を掲げて作られた製品なのだ。(いたちごっこの始まりか)
このフリーオがバカ売れで、業界の話題になってしまった。
それを受ける形で、国産のPC向け地デジチューナが続々と登場する予定になっている。
フリーオばかり売れてしまうと、放送の仕組みの根底が崩れてしまうからだ。
しかし国産チューナは、挑戦的なフリーオと違い、復号データは出力しない。
PC側で暗号化の対応が必要になってしまう点は払拭されないため、期待は出来ない。
地デジ/CSデジ/BSデジチューナの仕組みは以下のようになっている。
[暗号化電波]->[アンテナ]->[B-CASによる放送波の復号]
->[復号データ]->[HDCP再暗号化]->[暗号化映像出力]->[テレビ]
[復号データ]をそのまま取り出せば、何も束縛されないデータとなる。
フリーオもこのようにしてデータを取り出しているのだと推測される。
ところが、フリーオも潤沢に流通しているわけではない。
そこで、既存の地デジチューナを使って同じ事をしようとする人が出てきた。
どんなチューナでも仕組みは変わらないため、復号データが流れている配線から
無理矢理信号を取り出してUSB出力するハンダ付け野郎が続出中だ。
(ROMライタが必要だった気がするので敷居は高めのはず・・・)
その場合、フリーオと違ってBS/CSデジ等の生データもキャプチャできる。
技術大国日本では、一般の人でも大企業の製品を改造できるスキルを持つ。
もし殆どの人がスキルを持っていたら・・・これは笑える。
手段はテロ的だが、技術が独占を許さないなんてマンガみたいで痛快だ。