世の中のお金の価値は常に変動している。
100円の価値は絶対的ではない。
というか、世の中に価値が一定のものはまずない。
お金の数は一定ではなく、増えたり減ったりしている。
先のエントリで述べた、銀行の役割でそれが起こる。
まとめると
1 A銀行へR会社が2000円預入する。
2 A銀行がG会社へ1800円貸し出す。
3 G会社がH会社へ900円の支払いを済ます。
4 A銀行へG会社が残りの900円を預入する。
この時点でA銀行の預金総額は2900円になっている。
つまり、貸し付けと預け入れの繰り返しにより、
世の中に流通するお金の量が増えて行くのだ。
これを『信用創造』という。
お金の価値は借入側の返済信用力に支えられている。
世の中に現金が多く流通すれば、お金の価値は下がる。
逆に、流通量が少なくなればお金の価値は上がるのだ。
この流通量の事を通貨供給量、マネーサプライという。
マネーサプライが上がれば、
同じモノに対してお金の価値が下がるので、インフレになる。
逆に、下がればデフレになる。
これを調整して、経済を安定させる必要がある。
安定させるための政策を経済政策といい、調整自体を市場操作という。
行うのは、中央銀行と政府だ。
日本の中央銀行は、言うまでもないが日本銀行だ。
★中央銀行が行う経済政策を金融政策といい次の2つに大分される。
金利を変動させる事で市場操作をする。
●金融緩和
公定歩合を下げて、国内の金利を下げる。
金利が下がると預金の意味が無くなる。
そしてお金を借り易くなるため、投資が増える。
投資が増えるので、マネーサプライが上がる。
つまりインフレを招き、経済の促進を狙う。
特徴としては
『金利が下がって通貨価値が下がる』
●金融引き締め
公定歩合を上げて、国内の金利を上げる。
金利が上がると預金のメリットが投資を上回る。
また、金利が上がる事で沢山のお金を借りにくくなり
投資が控えられ、マネーサプライが下がる。
つまりデフレを招き、経済の鈍化を狙う。
特徴としては
『金利が上がって通貨価値が上がる』
★政府が行う経済政策を財政政策という。大きく次の2つがある。
財政政策は、税金や公共事業などで市場操作する。
●財政緩和
減税や公共事業を増やし、経済の促進を狙う。
消費を促すため、マネーサプライが上がりインフレになる。
減税を埋めるために大量の国債を発行する。
ところで、債券というものは、それ自体の価値と金利を持っている。
金利が上がれば債券の価値は下がり、金利が下がれば価値は上がる。
つまり大量発行で債券価格が下がり、売るために金利が上がる。
そして金利は貨幣価値を上回ってしまう。
そして投資が抑えられマネーサプライが下がってしまう。
したがって、促進された経済はちょっとだけ戻る。
これをクラウディングアウトと言い、ちょっともったいない現象だ。
特徴としては
『金利が上がって、通貨価値が下がる』
●財政引締め
増税や公共事業を減らし、経済の鈍化を狙う。
消費を抑えるため、マネーサプライが下がりデフレになる。
増税で国債を買い取るため、債券価値が上がり金利は下がる。
金利が下がると投資が増えマネーサプライが上がってしまう。
したがって、後退した経済はちょっとだけ促進される。
特徴としては
『金利が下がって、通貨価値が上がる』
金融政策と財政政策の違いは、
経済の促進を狙うために金利が逆方向に向かう事だ。
金利は、債券の価値や為替に関わる。
金利が上がると債券の価値が下がり、円高になる。