参院選の期日前投票をしてきた。
今回の争点は消費税。
今の日本の予算は年間100兆円。国民は100兆円の暮らしをしている。
昨年の税収は過去最高の60兆円に上ったが、足りない40兆円は借金で補っている。
これが日本という国の収支。
借金と言っても、日本の国債は銀行が集めた預金の一部使って円建てで買われている。日本全体から見れば、右のポッケにあるお金を左のポッケに移動させただけ。通貨の流通量や価値は変わらないから、経済破綻は起きない。それどころか似たような財政状況の他国に比べれば好景気で、国(円)の信用が落ちないので低金利を維持している。一見問題ないように見えるが、最終的に足りない金は政府が刷るので通貨の総量は増えるし、いびつな構造であることは間違いない。
日本の税収は大きく3つある。
- 所得税
- 消費税
- 法人税
他にも色々あるが、これら3つで税収の70%以上を占める。
今の日本は消費税で支えられているといっても過言ではない。税率を上げるだけで、効果覿面に税収が増えるのが特徴だ。
ところで、課税すると何かを「抑制」させる効果がある。輸入量を抑制させたければ関税をかけるし、所得格差を抑制させたければ所得税をかける。
消費税は、消費行動を抑制する。
生活に必要なものしか買わない人は「そんなことない」と思うだろう。たしかに野菜や肉を買うときに、消費税なんか気にしていられない。
じゃあ住宅や自動車といった高額な物や、生活に不要な趣味にお金を使うときに、税込金額が予算を上回ったら、グレードを下げないだろうか。ネットスーパー、Amazon、楽天市場を使うとき、増税で送料がかかるようになったら利用するだろうか。水道光熱費も値上がりする。消費税は「税金はお金のあるところから取る」という基本原則を無視しているため、国民全員が年間で使えるお金は減る事になる。収入は増えないのだから。
増税して、商品価値を下げて価格が変わらないようにしてしまう問題もある。ポッキーなどで、材料や量を減らして価格を維持するサイレント値上げがそれだ。増税のために誰かが損をするのは、本来の増税の意図にそぐわないのではないだろうか。
安易に消費税率を上げれば、消費は抑えられてしまう。消費税の増税は短期で見ればぐわっと税収が増えるだろう。しかし実は長い目で見れば、金回りを鈍化させる筋が悪い方法である。景気対策で国民全体の所得を上げ、所属税で税収を増やすのが素直な方法なのだが。あらゆる対策が手遅れという事なのかもしれないけれど。
ところで、一部野党は消費税ではなく法人税を増やせと言う。日本の上場企業の内部留保が数百兆円と巨額である点に着目している。内部留保を抑制・放出させれば、設備投資や従業員に還元されるという考え方だ。
これは大いなる勘違いがある。内部留保は会社がため込んだ「資金」「貯金」ではなく、資本の調達方法を指す言葉である。
株式会社は、利益はその殆どを株主に還元するのが本来の姿だ。しかし事業を拡大するために、配当に出さず利益を溜めておき、設備投資などに回すことがある。これが内部留保である。結果として設備や製品在庫として資産の一部となっている。株主の金を事業に使うために会社が持つということだから、まず従業員の賃金にはならない。つまり、「粗利」のうちに奪い取る必要がある。決算を経て営業利益や経常利益が確定したら、利益は株主の手に渡るか、会社の事業に使うかであり、手の出しようがない。
ところで賃金を増やすにはどうすりゃいいのか、と思う人がいるだろうから、そちらに話を切り替える。
無理を承知で言えば、売上総利益からどれだけ賞与として奪い取るか毎年労使闘争したり、株主は納得しないだろうが営業利益をある程度下げてでも賃金にまわすような制度にするといった事をしなければならない。春闘で求めるのも一つの手だろう。どちらにしろ経営は株主には勝てないということを知らないと話ができない。
というわけで、個人的には自社株を買い続けている。毎月、会社の補助の出る「持ち株会」で10年以上買い続け、まとまった株数になったら個人の証券会社の口座に移管している。こうすることで、インサイダー取引を回避しつつ補助と配当を享受できる。最近の株価は5500円、半期の配当は1株あたり85円(高すぎ)、おいそれと買える金額ではなくなってしまった。リーマンショックの頃は1000円台まで落ちたが、何とか止めなかったので今となってはおこずかい金鉱となっている。