自動車のボディコーティングの話

ボディコーティングには様々な種類がある。
上からぶっかけて流すだけで被膜形成、施工終了、というインスタントなもの。
しっかりした薬液を塗布し時間をかけて乾燥させ、ガッチリ被膜を作るもの。

簡単なものは剥がれやすく、寿命も短いが、
一回の費用が非常に安く、洗車機の簡易なものでも3週間程度はもつため
定期的に続けることで気軽に車を綺麗に保てるメリットがある。

一方、ガッチリ被膜を作るタイプは高価だが安心感が強く
見た目も恐ろしくきれいになる。

今回は後者の話。

今一番主流の方式は、ガラスコーティングだろう。
店に行けば、まずガラスコーティングを勧められる。

「ガラスコーティング」というと、
フロントガラスのコーティングと勘違いされるため
「ケイ素系コーティング」と呼ばれることもあるが、実態は以下の通り。

1)高級タイプ:
 塗ると空気中の水分で化学変化し、石英ガラスになるもの。
 真のガラスコーティングとされる。高価。

2)普及タイプ(ガラス「系」コーティングと呼ばれる):
 ガラス繊維の粒子をフッ素樹脂等で繋ぎとめている。
 金属とコートの膨張率の差に強いとされ、艶がすさまじい。安価。

ガラスのコップを洗うと分るように
只のガラスは親水性なので、水がスルスルと流れ、弾かない。
キラキラするが、金属のような高級感あふれる光沢は無い。

そこで、多くの場合は二度塗りを行い、ガラス層の上にトップコートをかける。
意外と知られていないのだが、
ガラスコーティングはボディを包んで物理的/化学的に守っているだけで、
水の流れ方、汚れの付きにくさ、光沢感などコーティングの特長は
表面にかかった「トップコート」の効果だったりする。

トップコートにより、撥水性やヌメヌメとした光沢が生まれ、
コーティングの表面についた傷を埋め、きれいに保つことができる。
ただ被膜の寿命は短く、すぐに落ちてしまうため、定期的にかけなおす必要がある。
例えば、洗車時に使うよう「トリートメント剤」としてユーザに提供されたり、
コーティング業者がメンテナンスと称して入庫させた際に塗布される。
(ホームセンターのお手軽コーティング剤を上塗りする人もいる)

高級品の場合、
トップコートをかけない、つまり二度塗りしないシングルコートタイプもある。
これは塗布後に表面だけ反応して別の層に変化し、
最終的に2層になることで機能を発揮する。
ダブルコートタイプに機能の強さで劣るが、トップコートの剥離がないため寿命が長く
メンテナンスが要らない。10万円とかの高額なガラスコーティングは大抵これ。

ところで、ガラスコート層自体は非常に強靭な被膜で、
薬品で溶かしたり、コンパウンドで磨かないと除去できない。
逆に除去したいときは、とても厄介なものである。

施工後、半年や一年そこらで、水ハジキや光沢が無くなったからといって
コーティングが消えたと思い込むのは早計なので、注意が必要。

#条件が悪いと本当にコーティングが剥がれている場合もある