ハイブリッドカーは決してECOカーではない

何をもってECOなのか。
確かに走行時のCO2量の話であれば、ハイブリッドカーはECOである。

ハイブリッドカー、例えばプリウスが他の車と違うのは、
大容量のニッケル水素バッテリー、モーターを積んでいるところ。

ニッケルは、カナダで山を削って産出され、
ヨーロッパで精製され、中国を経由し、日本でバッテリーに製造される。
最後の最後に日本にやってきて車に積まれるのであるが、
それだけで輸送や環境への影響が世界規模になっている。
原価を下げる為、日本に来るまでの行程は当然安い。
本当にそれで大丈夫なのだろうか。

また、バッテリやインバータ等は廃棄処分も簡単ではない。
ハイブリッドシステムの部品の、製造と廃棄に伴う有害物質の排出量は
普通の車より多いことを忘れてはならない。
技術の為に一次産業が蔑ろになっているように見えなくもない。

理由はハイブリッドカーも加工品であるからに他ならない。
基本的に加工貿易で経済が成り立っている日本の製品は
完成以降のランニングコストでしか、ECOをうたう事ができない。
加工貿易は、モノを作って売る。作ってなんぼである。
大量生産、大量消費あってのメシダネとも言える。

これではECOとは間逆の精神ではないか。

俺は、ECOの本質はマイナスの美学だと思っている。
当たり前の事が「無い」からこそ、良い。という考え方だ。
世の中は、往々にしてプラスの美学である。
ゴテゴテと付け足して価値を生み出している。
食べて痩せられるならダイエットなんて誰にだってできる。

勘違いしないで欲しいが、ハイブリッドカーは悪いものでは無い。
少なくともオーナーにとっては、燃費が安いというメリットが有る。
車に乗らざるを得ない営業職が使えば、走行によるCO2の排出を減らせるかもしれない。
先にあげたニッケルだって、正しく処理すれば新しく再生できる。

ECOビジネスに踊らされぬよう
物事の背景やシナリオを考えた上で行動したいものだ。

目的やシナリオを考えず、先を読まないで行動するのはよろしくない。
仕事でも「次は何をすればよいですか?」とすぐ聞いてくる人は、先を読めないタイプ。
「あれがあるので、次はこれをやればいいですよね?」と確認する人は、先が読めるタイプ。