秒速5センチメートルの最後だけ見て考える

この数年間、とにかく前に進みたくて
届かないものに手を触れたくて
それが具体的に何を指すのかも
ほとんど脅迫的ともいえるようなその思いが
何処から沸いてくるのかもわからずに僕はただ働き続け
気づけば、日々弾力を失っていく心がひたすら辛かった。

そしてある朝、かつてあれほどまでに真剣で切実だった想いが
綺麗に失われている事に僕は気付き、
もう限界だと知ったとき、会社を辞めた。

昨日、夢を見た。
ずっと昔の夢。
その夢の中では、僕たちはまだ13歳で。
そこは、一面の雪に覆われた広い田園で。
人家の灯りが、ずっと遠くに、まばらに見えるだけで。
降り積もる新雪には、私たちの歩いてきた足跡しかなかった。
そうやって、いつかまた、一緒に桜を見ることができると。
私も、彼も、何の迷いも無く。
そう、思っていた。

なんか、現在27にしてこの映画を見ると、なるほどと思わせる場面が多い。
降り積もる新雪につけた足跡は、時間がたてば古いものから消えてしまう。
過去の、記憶、想い、人間関係に例えているのだろう。

「あの時の自分が考えていた未来にたどり着けましたか?」
13歳の自分に聞かれたら、なんて答えるだろうか。

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