日本の製造業の今後を考えた

日本は製造業で経済を形成している。
小学校の頃、加工貿易という言葉を習っただろう。
日本は、材料を輸入しては加工し、製品を作って輸出している。
加工品は多岐にわたるが、主に工業製品だ。
特に自動車は総合的な技術な集大成。ほぼすべての製造業が影響する。
そして日本は、存在する自動車会社の数が異常に多い。
一国にこれだけの会社があるのは世界的に見ても異例だ。
これの意味するところ、要は自動車で食っている国なのである。

以上のとおり、製造業に頼っている日本であるが
その製造業の景気が、現在は芳しくない。
理由は、最新技術を開発しても、変なプライドで高く売るからである。
日本製品は人件費から高いので仕方が無いところもある。
いずれにしろマーケティングの失敗につながる。

ところで、「品質が良ければ対価は高くて当たり前」という考え方は、
国際市場から考えればほんの数パーセントの顧客しか理解できない。
ほとんどの顧客は、安くてそこそこ良い品質の製品を買う。
ブランド品や高品質品にまみれた多くの日本人は、これを勘違いする。

液晶パネルも、いまや韓国の独壇場である。
日本で開発された技術でも、日本製より韓国製の方が安いから
国際的にとても売れており、日本メーカのテレビにも
韓国のパネルが使われるほどだ。

なぜ、日本の技術なのに韓国が作れるの?と思ったりする人は、
日本の過去を考えるといい。

昔の日本製品は日本人がゼロから技術開発したものではない。
たとえば車なら、欧米車をコピーするところから始まったものだ。
その頃、日本は貧しい時代で、日本製品はとにかく安かった。
だからそこそこの品質のものを作れば売れた。
数が売れ、技術やノウハウが蓄積され、高品質になったのだ。
そして、日本車は欧米車と対等に市場競争し、なんと勝利した。

今の中国や韓国はまさにこれを行っているところである。
だから多少の品質のバラつきや、作りの荒さがあっても
国際市場で数をどんどん売っている。
品質もいずれ日本製品並みになる事は目に見えている。

日本の製造業は、高いがゆえに必ず負ける。
「高品質な製品はやっぱり中国製だね」
なんていわれる時代も近い。
これは先進国ゆえの問題点だ。

では、他の先進国を考えてみよう。
製造業で国際競争力を失い、産業を転換した国は
ドイツ、イギリスなどの欧米列強だ。
今は、高級市場やニッチ市場向けの製造業が残っているが、
殆どは金融、観光、商業、医療、情報技術で経済を立てている。
特に金融が重要で、発展途上国の成長に投資することで国が潤う。
実は、大衆向けの技術は、安い国に売ってしまっている。
米IBMがシンクパッドを中国に売ってしまったのが良い例である。
これは市場競争力の強化に成功を収めているし、WIN-WINの結果をもたらした。

先の青色LEDでは、日本の技術開発で日本製だ。
が、当の開発者は会社で優遇されず、辞めてアメリカで教授をしている。
これは日本の島国根性がもたらした会社体質の安いプライドの結果だ。
こんなふうに他の先進国に技術が流れて行く。
これじゃあ日本は「敗戦国」らしい植民地と同様である。
他の技術でも同じ事を繰り返していれば、今後は立ち上がれない。
また、韓国や台湾製の液晶と同時にバックライトも数が売れるので、
青色LEDはそれらの製品のおかげで売れているとも言える。
存在だけじゃ売れないのだ。

中国や韓国の国民性や性格はまた置いておき、
彼らを利用することを先に考え、動かしづらい「安さ」を
国益にすることを日本はこれから考えていかなければならない。

で、最近はJALが行方がいろいろなところで議論されている。
俺としては、安いところに売ってしまえ!が結論で、
結局その方が国民のためになる。価格もサービスも向上すると思う。
JALは天下り先なのでなんとも難しい話であるが。。
(元々国有だった企業は政府が売りたがりません。アホ。。)

もっとも、外資がモロに入り込んだ状態で労働者の失業が問題になったとしても
それは能力不足で失業するほうが悪いと考えるべきだ。
グローバル化が進み、本当に差別が無くなると、それは然るべき問題。
今はそういう時代なのだと思う。
(もちろん業種さえ選ばなければ、競争に晒されない生き方もある)