日本人はボケた写真がお好き

撮影者が、被写体以外を意図的にボカすことで
被写体を浮き上がらせると、プロっぽい写真になる。
ボケ方はレンズと撮影者の腕によって変わってくる。

ボケを左右する大きな要素の例。
○焦点距離
 長い程、被写界深度が浅くボケやすい
○絞り
 小さい程、被写界深度が浅くボケやすい
○レンズの設計(光学設計/絞り羽の枚数や形)
 ボケのタッチに影響する

焦点距離と絞りで、撮影者はボケの程度を変えられる。
被写界深度とは、ピントが合っているように見える距離の範囲の事。
深いと近くから遠くまで広くピントが合い、
浅いと狙った部分以外はピントが合わない。

焦点距離が長い(望遠)と圧縮効果が生まれる。
圧縮効果とは、遠くにある物が、近くに迫って写る事。
目には、近くの1mは大きく、遠くの1mは無視できる程小さく見えるものだ。
夜空を見上げれば、何光年も離れた星も、数センチの距離に見える。
焦点距離が長いレンズは、その距離感のままに写す事になる。
言い換えれば、100mの距離を、1mに見せる事が出来る。距離を圧縮できる。
長い距離をギュッと纏め込むため被写界深度が狭くなり、ボケやすくなる。

絞りが小さいとボケる理由は、
口径が絞られる事による焦点深度が関係している。
焦点深度とは、結像した際にピント(焦点)が合っているように見える、
カメラの内側の範囲である。
ピントが合っているとは、レンズを通して円形になった光が収束した点が
結像した時に、一定(画像を構成する粒子)以下の大きさになることだ。
この点を錯乱円と言うが、絞ると口径が小さくなるので、錯乱円の最大径は小さくなる。
つまり、最初からある程度収束した状態で光が入射するわけで、
さらに収束させると錯乱円は許容範囲内になりやすくなる(焦点深度が深くなる)。
焦点深度は、被写界深度なので、絞るとピントの合う範囲が広がる。

とりあえず、絞りが小さい->開口径がデカい->被写界深度が浅くなる ってこと。

レンズによるボケ味とは
ボケを数値的に表す事は出来ないが、見た目の感触の差はある。
昔の油絵のように、ぐにゃりとボカすことができると、
一般的には良いボケ味なんて言われる。
あまりまろやかにならず、クッキリした円(の中はボケてる)を大量生産してしまうと、
ボケ方が良くない、なんて言われる。
(その円のボケる方向があまりよくないとか、色々見る所は人による)

かといって、あまりボカしすぎて背景が意味不明になるのも悪い例になりうる。
背景から写真の意図、雰囲気を醸し出させ、なおかつ被写体を浮かび上がらせるという
微妙なセンスが要求される。