血豆ができて痛いので絆創膏を貼ったのだが
ふやけてしまったので剥がしたら、
突然、死んだ婆さんを思い出した。
婆さんは確か1995年くらいに亡くなった。
1990年頃にパーキンソン病になり、
回復するもゆっくりにしか動けない為、一緒に暮らす事に。
1993年頃に脳梗塞でICU行きになったが、
すぐ回復して病状も安定し、先も長くない為自宅介護となり、
最後はまた病院に入院して亡くなった。
俺からしてみれば、小学校に入った頃に病気でぶっ倒れ、
それ以降、身体が常に不自由なお婆さんという感じだったが
実はそれ以前の、元気だった頃も少しだけ覚えている。
白髪パーマに紫がかった老眼鏡をかけた上品な面持ちで
俺を抱っこできるくらい元気だった。
ある日、そんなちびっ子だった俺がセミ採りをしたいと言ったのだ。
婆さんが住んでいた地域は、湘南の海と山に囲まれた別荘地。
家のすぐ横にセミやリスが沢山いる山もあった。
その頃俺は宇都宮の駅近くに住み、セミが沢山いるのが珍しかった。
婆さんは、俺と弟を引き連れて、山の道を歩いていった。
と言っても、披露山という山で上は住宅地なので、舗装された道だ。
その道のわきの杉に、セミがとまっていた。
セミはすぐ取れそうな位置にいたので、婆さんが網で捕まえにかかった。
しかしその時、婆さんは足を滑らせ転んでしまったのだ。
通りがかった外国人に助けてもらったが、腕や足の皮膚を切ってしまい
消毒した後、大きい絆創膏を貼ったのだった。
俺もついでに怪我したので、赤チンを塗った。