ニュートンが、リンゴで引力を発見した

…という言い伝えは、ウソだったりします。

万有引力の法則という、力学の基本的な概念があります。
「全ての物体(質量のあるもの)には引力がある」という概念ですね。
アイザック・ニュートンが発見したものですが、
よくリンゴが木から落ちたのを見て気付いたなんて言われています。

昔、天体は地球を中心にまわっているという
天動説がまかり通っていました。
天動説は当時の観測精度では十分説明でき、宗教的にも信用がありました。

天動説を証明するために頑張っている人もいましたし、
地動説を証明するために頑張っている人もいました。

天動説を否定し地動説を証明するネタはいくつかありましたが
解明する術がありませんでした。

逆に、天動説が地動説を反対する理由は、
地球が太陽を中心に周回していたら、
月は地球から離れて飛んでいってしまうというものでした。
それに、空を飛ぶ鳥は地球が動いたら置いてかれてしまうかもしれません。
この頃の力学には、地球の重力はあっても万物における引力は無かったのです。
(地球が丸い事は既知であり、天が地球を囲っているなら人は地球にくっついてるわけで、重力の存在は広く認められていました)

ところが、ガリレオ=ガリレイさんにより木星に衛星が発見され、天動説が揺るがされました。
今度は木星の衛星がふっとばない理由がないと、天動説が証明できません。

そのうち、ヨハネス=ケプラーさんという人が地動説を使って
惑星を楕円運動させて惑星の動きを完璧なまでに説明しました。
これをケプラーの法則と言います。
何故月や木星の衛星は飛んでいかないのかは不明のままでしたが、
精度が向上した観測結果との照合の結果、地動説が支持され始めました。

ニュートンは、木星の衛星がふっとばない理由を解明しようとしたのです。
ケプラーの法則を利用して、万物に引力があると仮定し、数式で説明しました。
万有引力の法則。つまりニュートン力学を作ったわけです。
引力は、宇宙と数学から生まれた概念だったのですね。

ちなみに、リンゴの木自体は本当に存在しています。
日本にはまず東京大学に植えられ、全国に増えています。