絆創膏とガーゼ

子供のころ、数か月に一度くらいのペースで怪我をして
保健室によくお世話になっていた。

傷の程度というのも色々あるものだが
危険な遊びをしては失敗して負うものが大半なので
血よりリンパ液が沢山出るわ、えぐれるわ、刺さるわ、切れるわ、と
治癒中にジュクジュクになってしまうものが多かった。

処置としては、洗って消毒してガーゼを当てて包帯ぐるぐる巻きと
お決まりのパターンが多かったが、じゅくじゅく傷のガーゼは剥がす時が
本当に本当に痛い。皮膚の毛をぶちぶち抜かれるより痛い。
実際はぶちぶち抜けて、治りかけの皮膚の一部がべろんと剥がれる。

あれは、小学校三年生のころだろうか。
ガーゼ交換が痛くて、こりゃあかんと保健室で養護教諭に相談したら
脱脂綿を透明なポリエチレンフィルムで挟んだような傷当てを
棚の引き出しから取り出して
たぶんこれがいいでしょう、とガーゼの代わりに使ったのである。
初めて見る傷当てだったが、先生も「新しいやつを使ってみる」と言っていたから
あまりメジャーではない製品か、新製品だったのかもしれない。
後日薬局で見てみたらいい値段だったので、学校はこういうのも買うんだなと思った。

結果は効果てきめん。フィルムは傷に埋まらず同化せず
ツルリ、ヌルリ、と剥がれるので痛くなくなった。
これは素晴らしいものだ、今の医学はここまで進歩したのか、と感動した。
(何しろ子供なので感動の連続である)

ただ、ポツポツと針で開けたような通気口があるとはいえ、
所詮はプラスチックで水を通さないフィルムである。
傷の分泌物や液ですぐ詰まってしまい、通気性が非常に悪かった。
剥がすとヌルヌルでジュルジュルのままなのが残念だった。
貼り換えの際は、ジュルジュルを水流で洗い流して新しい傷当てを当てる。
傷は乾かした方が治りが早い。という考え方が一般的だったので
この傷当ては本当に大丈夫か?と少し疑ったりもしていた。

今では、その傷の痕は注意深く探さないとわからない程になっている。
どうもその通気性の悪さが、実は良い結果をもたらしたようなのだ。

今日では最新治療法というふれこみで、「湿潤療法」というのがある。
あえて消毒せず、湿った状態を維持することで細胞分裂を活性化して治癒を早め、
かさぶたを作らせないことで、痕も残り難くなるらしいのだ。

確かにそのフィルムを使ったときはやけに治りが速かったかもしれない。
中学の頃、半田ごてのヒータ部分を手首にめり込ませる失敗をした。
自分の皮膚から派手に立ち上る湯気と焼ける音は、今でも忘れない。
無残にもハーフパイプ状にえぐれた火傷だったが、2週間弱で治った。
火傷というか焼き肉をしてしまったため、かなり皮膚が死んだはずだが
1週間くらいで膿がおさまり、ピンク色の新しい皮膚が確認できた。

今では湿潤療法のための絆創膏なども出ているので
一般的に行われている治療法なのだろう。

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